//いつだってヒーローになれる!勇気をもらえる映画3選

いつだってヒーローになれる!勇気をもらえる映画3選

「将来はこんなことをしてみたい」「こんな人間になりたい」とキラキラした自分を思い描いていたのに、気がつくと「あれ? 思っていたのと違う」「こんなはずじゃなかった……」なんてことになっていませんか? 

仕事やプライベートがある程度落ち着いてくる30代から40代。日々の暮らしに満足してはいるけれど、何か物足りなさを感じたり、「これから先もずっとこのままでいいのかな?」「やりたかった事があったけど、やれてないなー」なんてモヤモヤしたりすることはありませんか? そこで今回は映画ライターの中島もえが、「いつだってヒーローになれる! 勇気をもらえる」をテーマにおすすめの映画を3本ご紹介します。行き詰まった状況から新しい事に果敢に挑戦して人生のヒーローになった主人公たちから元気と勇気をもらえますよ!

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『シンデレラマン』(原題:Cinderella Man)(2005)


[Before]
1930年代、大恐慌真っただ中のアメリカ。プロボクサーのジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)は、華やかな戦歴を持つものの年齢的にボクサーとしての最盛期を過ぎ、疲労とけがによって勝利から遠ざかっていた。ボクシングのファイトマネーだけでは生活できなくなった彼は、港湾労働者として日雇いの仕事をしながら、妻のメイ(レネー・ゼルウィガー)と3人の子供たちを養っている。そしてある日、ジムはけがを押して出た試合でクリンチ(相手の体に腕を回して密着状態にするテクニック)ばかりした結果、無効試合となりライセンスをはく奪されてしまう。わずかなファイトマネーすらもらえなくなり、一家はさらに困窮する。食べる物も満足に買えず、光熱費を滞納して電気を止められ、子供が熱を出しても医者に見せることもできない。生活苦から、メイは子供たちを親戚の家に預けようとするが、ジムはそれに猛反対し「なんとしてでも家族を守る」と誓う。

世界恐慌が深刻化し、ジムの暮らしはますます厳しくなっていたが、それでも日雇いの仕事でなんとか食いつないでいた。そこへジムが現役ボクサーだった時のマネージャー、ジョー(ポール・ジアマッティ)がやって来て、ボクシングの試合の話を持ち掛ける(ジムをボクシングのリングに復帰させるために密かに奔走するジョーの友情も感動ポイントです)。ジョーは、世界ランキング2位の若手との試合を放棄したボクサーの代役としてジムに試合に出てほしいと言う。ジムは、長くボクシングから離れていた自分に勝ち目はないと分かっていたが、「負けても250ドルの報酬がもらえる」というジョーの誘いに応じて、再びリングに立つ決心をする。
[奇跡の復活を遂げたシンデレラマンが勇気をくれる]
試合に負けることは明白であったが、ジムは「250ドルあれば、借金を返せるし、少しの間でも家族を楽にしてやれる」と言って嬉しそうに試合に臨む(勝敗は関係なく、再びリングに上がれることや、本業のボクシングで家族を養えることに喜びを感じるジムの姿にグッときます)。しかし誰もがジムが負けると思っていたその試合で、彼は奇跡的に相手をノックアウトして勝利する。そしてこの試合をきっかけに本格的にリングに復帰したジムは、その後の試合でも順調にでも勝利を収め、一躍ヒーローになる。極貧の生活から奇跡的にボクサーとして復活したジムの活躍は、彼と同じように貧困に苦しむ多くの人々に希望を与え、記者たちは彼のことを「シンデレラマン」と呼ぶのだった。

[After]
ジムの前に新たな対戦者が現れる。ヘビー級世界チャンピオンのマックス・ベア(クレイグ・ビアーコ)だ。彼は過去に試合で2人の対戦相手を殴り殺したことがあるという危険人物だった。この事を知ったメイは、ジムに試合を棄権するように懇願する。しかし、どん底の暮らしからボクシングの世界に復帰して自分のプライドを取り戻したジムは、苦境の中にいる人々に希望を与えられることに、ボクシングをすることの目的を見いだしていた。ジムは「人生をこの手で変えてみたいんだ!」とメイに言う。試合当日、町じゅうの労働者たちが声援を送る中、ジムは家族の幸せと自分のプライドを背負い試合会場に向かう。

★実在のボクサー、ジェームズ・J・ブラドッグの生き様を描いた実話に基づく物語です。貧乏で、けがをして、ボクサーのライセンスまではく奪され……と八方塞がりの苦境に立たされても、「大切な家族を守る」という信念を持ち続け、誠実さを失わなかったジムだからこそ、人生の一発逆転のチャンスをものにしてヒーローになれたのでしょう。「もう歳だから……」「負け(失敗)が分かっているから……」なんて言い訳をして、何かに挑戦することをあきらめてしまう前に、ぜひ見てほしいおすすめの映画です。

『最高の人生の見つけ方』(原題:The Bucket List)(2007)


[Before]
自動車修理工のカーター(モーガン・フリーマン)と大富豪の実業家のエドワード(ジャック・ニコルソン)の2人は、偶然同じタイミングで癌の診断を受け、同じ病室に入院することになる。カーターには毎日妻や息子が見舞いに来るが、わがままで皮肉屋のエドワードには秘書(ショーン・ヘイズ)以外誰も見舞いに来ない(この秘書とエドワードの絶妙なバランスの主従関係も見どころです)。エドワードは最初、カーターとの同室を嫌がるが、自分と同年代(60代後半)で、何かと気に掛けてくれるカーターに興味を持ち始め、だんだんと親しくなる。カーターはエドワードに、大学に入学して間もなく恋人が妊娠したため大学を中退し、教師になる夢をあきらめて45年間ずっと自動車修理工として家族を支えてきた、と自分の人生について語る。「45年はあっという間だった」とため息交じりに言うカーターを、エドワードは何か言いたげに見つめる。

ある日、カーターは「死ぬ前にやっておきたい事リスト」(棺桶リスト= bucket list ※この映画の原題になっています)を書き始める。エドワードから何を書いているのか問われても彼は答えず、ひたすらリストを書き続けるのだった。そしてその日の夕方、2人は主治医から余命6カ月の宣告を受け、愕然とする。カーターは書き掛けの棺桶リストを丸めて床に投げ捨てる。
[エドワードのポジティブな言葉が勇気をくれる]
翌朝、カーターが捨てた棺桶リストをエドワードが見つける。「見ず知らずの人に親切にする」「泣くほど笑う」「荘厳な景色を見る」……など真面目なカーターらしい優等生的な「やりたい事」が書かれているリストを見たエドワードは、「もっと楽しめよ!」と言って「マスタング(カーターが好きだと言っていた車)の運転」や「スカイダイビング」など次々と書き足していく。そして「すぐにこのリストを実行に移そう」とカーターを誘うのだった。「どうせもう何もできない」と誘いを断るカーターに、エドワードは「45年も無駄にしたんだろ? できるさ! やるべきだ!」と励まし、「口より体を動かせよ。これはチャンスだ!」と強引に背中を押す(私が好きなシーンの1つです。余命宣告をされてどん底まで落ち込んでいるはずなのに「これはチャンスだ!」と言い切ってしまう超ポジティブなエドワードから元気と勇気をもらえます)。

[After]
リストを実行に移すかどうか、カーターが悩んでいるところへ妻が見舞いにやって来る。カーターは妻に余命宣告を受けたこと、これからエドワードと旅に出ようと思っていることを話す。妻は(当然ですが)旅に出ることに猛反対し、「闘病を放棄して、家族を見捨てるのか」とカーターを責める。妻のこの発言に、カーターは45年間ずっと家族のために頑張ってきた自分の人生にふと不自由さを感じ、旅に出ることを決意する。カーターとエドワードは棺桶リストを実行するために病院を飛び出す。

★どんな生き方が幸せなのか考えさせられる、哲学的な内容の作品です。カーターとエドワードが、「やりたい事があるならすぐに実行すべきだ」ということや、「何かに挑戦するのに年齢なんて関係ない」ということを教えてくれます。映画を観て元気とやる気が出たら、まずは「棺桶リスト」の作成から始めてみてはいかがでしょう?

『Shall we ダンス?』(1996)


[Before]
真面目で平凡な会社員の杉山正平(役所広司)は妻とひとり娘の3人家族。仕事は順調で、念願の庭付き一戸建ても手に入れ、満ち足りた人生を歩んでいるはずの正平だったが、実は人生に物足りなさを感じていた。ある日彼は、会社帰りの電車の中から見えるダンス教室の窓辺に、美しい女性(草刈民代)が佇んでいるのを見つける。それ以後、毎日帰りの電車からダンス教室の窓を見上げるようになる正平(「ダンス教室の美女を見る」というちょっとした秘密の楽しみで癒される彼の姿にホッコリします)。彼は数日後、勇気を出してそのダンス教室を訪れ、社交ダンスを習い始める。

気恥ずかしさから家族にも会社にも内緒で社交ダンスを習い始めた正平。彼は初歩的なステップを踏むのにも苦戦するが、偶然にも5年前からその教室に通っているという会社の同僚の青木富夫(竹中直人)や、何かと憎まれ口を叩く(でも本当は優しい)シングルマザーの高橋豊子(渡辺えり子)といった、ダンスを心から愛している仲間たちとの交流によってダンスの世界に引き込まれていく(ラテン大好きな富夫が躍る情熱的なダンスはいろんな意味でもの凄いインパクトがあり、目が離せません!)。
[ひたむきにダンスに取り組む正平の姿が勇気をくれる]
正平が電車の窓から見ていた美女は岸川舞という名で、以前はプロのダンサーとして活躍していたが、ある事件をきっかけにダンスへの情熱を失い、教室にダンスを習いに来る生徒たちに対しても心を閉ざしていた。正平に直接ダンスを教えることもない。憧れの美女からレッスンを受けられないことに若干へこむ正平だったが、彼のダンスへの情熱はどんどん増していく(会社のトイレやひとけのない夜道でステップを踏んだり姿勢のチェックをしたりしているところが微笑ましく、元気が出ます)。そして熱心にダンスのレッスンに励む正平のひたむきな姿が、次第に舞の心を動かし、彼女にダンスの素晴らしさを思い出させる。一方、急に帰宅が遅くなり、あからさまに生き生きとし始めた正平を見て「何かある!」と感じた妻は、探偵に正平の浮気調査を依頼する。

[After]
社交ダンスにますますのめり込む正平は、ひょんなことから豊子とペアを組んでダンス大会に出場することになる。そして3カ月後、ついにダンス大会の幕が上がる。そこには探偵から「旦那さんは浮気ではなくダンス教室に通っている」と知らされた、複雑な表情をした正平の妻と娘の姿もあった……。

★夢中になれることを見つけた時の喜びや、それに没頭することの幸福感が伝わってくる作品です。「なんだかやる気が出ない」「新しいことに挑戦してみたいけど最初の一歩が踏み出せない」という人におすすめです。

[関連情報]
『Shall we ダンス?』のハリウッド・リメイク版『Shall We Dance?』もおすすめ! ハリウッドの役所広司、リチャード・ギアのダンスシーンがすてきです。

文:中島もえ

By |2018-08-31T20:22:20+00:00August 31st, 2018|Categories: seeds|0 Comments

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