//「考え中」は態度と言葉で示そう – 英会話の苦手意識が消えない本当の理由【8】

「考え中」は態度と言葉で示そう – 英会話の苦手意識が消えない本当の理由【8】

「英語なんて話せない!」「学生時代に英語を勉強したきりだから、すっかり忘れてしまった」などと、英語に対して苦手意識を感じている方。「英語が話せない」と考えてしまうのは、決して「英語の勉強が足りないから」ではありません。

この連載では、英語の苦手意識を払拭し、「話せる!」まで到達する実践的な手法を紹介します。

曖昧な沈黙は誤解のもと

海外の方からよく指摘があることとして、「何か考えていることがあるのなら、『考えている』というサインを出してほしい」というものがあります。

日本人の多くの人が、英語で何を言おうか考えているとき、微動だにせず“固まって”います。
相手から意見などを聞かれると、本人は真剣に考えているのでしょうが、「充電切れのロボットのごとく」フリーズしているように見えるのです。

「慣れない英語だから、何を言うか考えるのに時間がかかって当たり前」と思っているかもしれません。けれども相手にとっては、あなたがたんに「特に考えはない」のか、「話を続ける気がない」のか、見分けがつかないのです。

そうなると、会話への関心度は一気に低くなり、熱は冷めるでしょう。
肝心なことを何も話せないまま、相手から「あ、そろそろ行かなきゃ」 と会話が切られてしまうかもしれません。

こういった事態を防ぐためには、まず「私は今、何かを考えている」ことを明示的に発言する必要があります。

たとえば、

Let me think.(ちょっと考えさせて)

と発することで、「今、こちらに会話のボールがある」と認識していることを伝えましょう。これは「この後、何らかの答えを出します」という、いわば「予告」のような効果となり、相手に話への興味を持たせます。気持ちを引きつけるうえでもバッチリです。

もうひとつは、考えているあいだの沈黙を「音」で埋めることです。 ”Let me think. (ちょっと考えさせて)”と言ったものの、そこから長い沈黙の時間に入ってしまったら、再び相手の集中力は途切れます。これを防ぐためには、日本語で言う「えーと」のような言葉を発し、空白ができないようにつなぎ止めます。たとえば、“well”。考えているときに“well…”と添えるだけでも、「考えている」雰囲気は伝わります。

ただ、根本的な解決策は、とにかく臆せずに自分の考えを言ってみることです。
恐れず、ひるまず、自分の考えを明らかにしてみる。
そんなに難しいことを言う必要はありません。キレイな、あるいは複雑な英語を用いることもありません。まずは単純なことでいいから、何か発言してみるクセをつけていきます。
宇宙の真理をひとことで言い切る必要はないのです。会話が転がり出すような「きっかけ」となる一言を出せれば、それだけでも御の字です。

こちらの動画も参考にしてみてください。

「空気を読む」より「違い」を表現しよう

日本人の気質として、私たちは「空気を読む」ことが当たり前になっているかもしれません。「どう答えようか」と考えはじめる前に、そもそも「周りはどう考えているのか」と悩んでしまうことがあります。ただ、グローバルビジネスの場では、相手と違うことを恐れずに自分から口火を切ってみましょう。「違いこそ価値がある」と考えて、あえてどんどん発言していくことに意味があるのです。

グローバルビジネスの本質について考えていく際に、ひとつご紹介したい話があります。

たとえば、トムとジェリーがお風呂掃除をしたとしましょう。トムは重労働を担当し、ジェリーは手の届きにくいところを丁寧に磨きました。そして家主から報酬として、6枚切り(一斤)の食パンをもらいました。

では、この6枚のパンをどう分けるか。当然、お互いが「自分の方が働いた」と主張して、1枚でも多くパンをもらおうとするでしょう。 トムが1枚多くもらえば、ジェリーは1枚少なくなる。トムが2枚ならジェリーは4枚。トムが3枚にもられば、ジェリーは同じく3枚です。 もし、トムもジェリーも1枚のパンから「10」の満足度を得ているのであるとすれば、2人の合計満足度は「60」になります。

ここでひとつ問題です。この満足度を「60以上」にすることは可能でしょうか。
もし、 トムが食パンの耳が好きで、ジェリーは真ん中の白い部分が好きだったら、どうなるでしょう。トムは1枚の食パンの満足度10のうち、8をパンの耳から、2を真ん中の部分から得ていて、ジェリーは逆に8を白い部分から、2をパンの耳から得ているとします。
すると、トムがパンの耳を全部もらい、ジェリーが白い部分をもらったら、お互いに「48」の満足度を得ることができ、合計「96」の満足度となるのです。ほら、満足度は60を超えましたね! このたとえ話のポイントは、お互いの好みが「違う」ということになります。

これは「比較優位」という国際貿易の基本的な理論にも通じます。

お互い得意なことや好みが違うから、価値が生み出せるのです。
ただ、仮にふたりともパンの耳が好きでも、「パンの耳が好きな度合い」が違えば、比較優位は成り立ちます。たとえば、トムは白いところと耳が1:9くらいパンの耳が好き。ジェリーもパンの耳は好きだけど、 割合は4:6くらい。それなら、トムが全部パンの耳をもらい(9×6=54)、ジェリーが白いところをもらう(4×6=24)ことで、合計78 (54+24)という60以上の満足度が稼ぎ出せます)。

「違い」がある人たちと手をとり合い、何か新しいものをつくるために私たちは海を渡るのです。その「違い」に気づいたとき、それらをさまざまなサービスやプロダクトで置き換えたり、差を埋めたり、交流させたりすることで、価値を生み出せるのです。

つまり、「違う」ことが価値の源泉なのです!

さぁ、恐れずに自分の考えを表に出していきましょう!

動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

ハーバード大学にてMBA取得。日本の総合商社にて様々なグローバルビジネスに従事。その後イングリッシュブートキャンプを立ち上げる。また企業研修の講師としても活躍中。総合商社やメーカー等の大手企業や、成長企業向けにグローバル/リーダーシップ/交渉術等の研修を開発、自身も講師として登壇している。

By |2018-09-26T20:53:25+00:00September 26th, 2018|Categories: generalEBC|0 Comments

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