「英語なんて話せない!」「学生時代に英語を勉強したきりだから、すっかり忘れてしまった」などと、英語に対して苦手意識を感じている方。「英語が話せない」と考えてしまうのは、決して「英語の勉強が足りないから」ではありません。
この連載では、英語の苦手意識を払拭し、「話せる!」まで到達する実践的な手法を紹介します。
第2話でもお話しましたが、英会話……さらに「コミュニケーション」とは言わば、忙しい相手から大切な時間をいただくこと。そこで自分との会話に興味を持ってもらうための手段として、アイコンタクトを紹介しました。今回は、さらにもうひとつ“強力な武器”となりうる方法を紹介します。
私たちの短期集中プログラムに参加された多くの方が、英語になると、ボソボソ、ゴニョゴニョ……と声がどんどん小さくなっていきます。
人は「火事だ!」と誰かに伝えるとき、当然ながら大きな声を張りあげるでしょう? そうです。単純なことですが、あなたの声が大きければ、相手は「重要なことを伝えている」と感じ、逆に小さな声では、「大して重要でないこと」と感じてしまうのです。
英会話のときに緊張する気持ちは確かに理解できますが、声が小さければ、相手から「さして重要ではないことを話している」と思われるでしょう。次第に相手の興味は薄れ、しまいには耳は傾けているように見えても、その実は「心ここに在らず」です。もちろん、あなたが伝えたいと思っていることは伝わっていないでしょう。
まずは大きな声で重要性を訴えるのです。
想像してください。誰かがあなたの目をまっすぐに見つめ、大きな声で何かを語りかけたら……あなたは「今日の晩飯のおかず」のことを考えられますか? 難しいでしょう。大きな声で話すことは、それだけで相手の興味を惹きつける効果があるのです。
大きな声で話すために大切なのは、まず「手を自由にさせてあげる」ことです。
多くの方は英語を話すとき、ガチガチに緊張して固まっています。あるいは、一生懸命集中して、英単語を思い出そうとしているからかもしれません。
ただ、もちろんそれでは「いい声」は出ません。
まずは、両手を身体の前に出し、手のひらを肘より高い位置まで上げ、手のひらを自分のほうに向けてもらいます。ちょうどオペ前の外科医が、手袋をした両手を前に出している状態です。
ここから手を大きくブンブン振りながら、声を出してみましょう。不思議なことに、これだけで声の大きさは3割増しになり、慣れていくとさらに大きな「いい声」が出はじめます。
手を自由にすることで胸が開き、肩も開き、横隔膜も開いて、深く呼吸ができるようになるのですね。丸まった背中も伸び、胸を張って、良い姿勢になります。
大胆な姿勢に少し驚かれる方がいるかもしれませんが、まずはこんなふうに大きな声で話すトレーニングをしてみてください。
大きく手を振りながら抑揚をつけて話すのです。「Yes」と言うときも、手を前に突き出して 「Yes!」と大きく言うわけです。自然と腹から大きな声が出ます。極端に思われても、まずはぜひやってみてください。
余談ですが、可能であれば、一度、思いっきり英語で叫んでみてください。
海や山に行ったときや、高架下の電車通過中でもいいでしょう。あるいはカラオケボックスでボン・ジョヴィでもかけてシャウトするなんて手もあるでしょう。
一度英語で腹の底から叫んで、「英語」が喉をうち震わせて放出される感覚を味わってみてください。とても大切なことを身体で感じるでしょう。
それは「英語」が「言葉」であるということです。試験勉強のための暗号でもなんでもなく、相手に心を揺さぶり、相手を動かすための言葉であることを、身体全体で感じてみてください。きっと、これまでよりももっと英語が身近なものとなることでしょう。
相手の興味を惹く話し方については、こちらの動画も参考にしてください。
それでは皆さま、また次回!

ハーバード大学にてMBA取得。日本の総合商社にて様々なグローバルビジネスに従事。その後イングリッシュブートキャンプを立ち上げる。また企業研修の講師としても活躍中。総合商社やメーカー等の大手企業や、成長企業向けにグローバル/リーダーシップ/交渉術等の研修を開発、自身も講師として登壇している。
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