//“英語の傾聴”に必要なのは「うなずき」- 英会話の苦手意識が消えない本当の理由【4】

“英語の傾聴”に必要なのは「うなずき」- 英会話の苦手意識が消えない本当の理由【4】

「英語なんて話せない!」「学生時代に英語を勉強したきりだから、すっかり忘れてしまった」などと、英語に対して苦手意識を感じている方。「英語が話せない」と考えてしまうのは、決して「英語の勉強が足りないから」ではありません。

この連載では、英語の苦手意識を払拭し、「話せる!」まで到達する実践的な手法を紹介します。

真剣に聞いているつもりが“お地蔵さん”になっている!?

私たち日本人は、曖昧な表現で物事を伝える達人です。
濁した言葉、わずかに変えた声色、かすかな表情の動き……。一見すると気づかないようなかすかな表現の変化で、物事を伝えることができます。
これは、言い換えてみると、聞き手の「察する力」が非常に強いなかでコミュニケーションをとっている、ということです。
けれども、グローバルな環境は少し違います。
曖昧な表現でも、相手があなたを察してくれるとは期待しないほうがいいでしょう。
そこでは、「直接的な表現」が大切になっていくのです。

以前、とある日本企業で、同社の外国人役員が英語で話したときのことです。
日本人社員は、この間ひとことも聞き漏らすまいと、「傾聴」していました。その集中力たるやすごいものがあり、文字どおりピーンと張り詰めた緊張感がありました。
けれども、その外国人役員の方は「彼らは私の話に興味を持ってくれていたのだろうか」と心配そうに帰っていったという話があります。日本人たちがあまりにも集中して微動だにせずに聞いていたので、「話に興味がなかったのではないか」と思ったのです。

僕たちが日ごろ短期集中英会話のプログラムを行なっていると、実に9割近くの日本人英語学習者の方は、相手の英語を聞いているときにガチガチに固まっています。

「英会話」というと、どうしても身構えてしまうのでしょう。
「うわっ、英会話だ」「しっかり聞き取らなければ」と気合が入り、「ひとことも聞き逃してはならない」と、まさにリスニングテストのような状態になっていき、衣擦れの音さえ起こさないようにジッと構えて、相手の話を聞く体勢に入ってしまうわけです。
確かに、「人の話を真剣に聞く」という心構えとしては素晴らしいと思うのですが、冒頭の話で紹介した通り、グローバル環境では相手が常に察してくれると期待しないほうが安全です。

むしろ、自分が話しかけている相手が、身じろぎせずに ジッと固まってしまっていたら、“お地蔵さん”に話しかけているような気分になってしまうかもしれません。何を言っても、うなずきもしない。相手は「自分の話に興味を持っているのだろうか」と不安に思いはじめ、ストレスさえ感じるかもしれません。
そして、自分が一生懸命話しているのに興味を持ってもらえないのであれば、「ま、いいか」と早々に会話は終わるかもしれません。
そうです。第2話でもご紹介した通り、人はだれしも忙しいのです。

相手に「ちゃんと聞いている」ことを示すために必要なこと

では、どうしたらいいか。大きく二つあります。

一つ目は「うなずき」です。

大きくうなずくだけで、人はあなたが「聞いてくれている」と確認できるだけでなく、会話にのりはじめます。
皆さんも、動画サイトなどでインタビューの様子を見たことはありませんか。注目したいのは、聞き手側、インタビューをする側です。そういったインタビューをする人は皆、実に大げさにうなずきます。「うーん、なるほど」「そうなんですねぇ」「うわぁ、すごい!」と言わんばかりに、大きくうなずきます。インタビュワーという「話を引き出すプロ」は、そうやって相手をのせていくのです。

そして、二つ目は「相づち」です。
きちんと思いを声に出して、合いの手を入れていくということです。
“Right.”“That’s right.”だとか、 “Yes.”といった「合いの手」を入れるのです。
ちゃんと聞いていることを、声で表現するのです。

このような積極的な聞くスキルは、とても大切です。
「アクティブリスニング」という考え方もあります。相手の真意を引き出すために能動的に聞いていく行為です。このアクティブリスニングは、アメリカの人質解放などで活躍する「交渉のプロ」も大切だと言っています。極限状態の人を理解し合うためにも有効な手法なんですね。“攻め”のリスニングをしていきたいものです。

アクティブに会話を進めるスキルについては、よろしければこちらの動画も参考にしてみてください。

それでは皆さん、また次回!

ハーバード大学にてMBA取得。日本の総合商社にて様々なグローバルビジネスに従事。その後イングリッシュブートキャンプを立ち上げる。また企業研修の講師としても活躍中。総合商社やメーカー等の大手企業や、成長企業向けにグローバル/リーダーシップ/交渉術等の研修を開発、自身も講師として登壇している。

By |2018-08-23T14:12:59+00:00August 22nd, 2018|Categories: generalEBC|0 Comments

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