//外国人のスタッフをいかにマネジメントすべきか? ビジネス英語で行う適切なフィードバック

外国人のスタッフをいかにマネジメントすべきか? ビジネス英語で行う適切なフィードバック

日本の人手不足が深刻になるなか、外国人労働者の受け入れが急速に進んでいます。すでに外国人の部下や同僚がいる方もいらっしゃるでしょう。今後外国人を雇い入れたり、外国人が部下として配属されたりする方もどんどん増えることが予想されます。

本書には部下に指示を出すための具体的な英語例文と、彼らの仕事に対する考え方が詳しく説明されています。日本以外の文化圏で育った人々と一緒に仕事をする方は、学ぶところも多い必携の一冊です。

  • 外国人部下と仕事をするためのビジネス英語 指示・フィードバック・業績評価
  • 著者:ロッシェル・カップ 増田真紀子
  • 出版社:語研
  • 販売開始日:2005/11/1

なぜ外国人は謝らないのか?手伝わないのか?考え方の背景を解説

本書が特徴的なのは、英語の例文だけではなく、「なぜこの言葉を言う必要があるのか」をたっぷり紹介していることです。外国人は仕事や上司に対して、どんな期待や考えを持っているのか。それは日本の社会とどのように違うのか。実際のマネジメント経験を活かした具体的な説明が書かれています。

“外国人は上司を「スポーツチームのコーチ」のように考えているのです。反対に日本人部下は上司を「学校の先生」や「体育会系の先輩」に近い存在としてみているのかもしれません。”(P16)

なぜ、外国人労働者は言い訳ばかりをして謝らないのか? 周りの仕事を手伝わないのか? という疑問にもしっかり答えてくれています。日本語を話す外国人部下と仕事をしている方にも、彼らの仕事への考え方が分かるという点で大変役に立つでしょう。

アメリカも以前は終身雇用制度が存在していたそうです。どのような変化が訪れて、今のような働き方になったのかという背景もしっかり書かれています。

具体的でフォーマル、ビジネスの場でも実際に使える例文が豊富

外国人部下に期待どおりの仕事をしてもらうためには、言葉で明確に伝えることが大切です。本書は具体的な会話例がたっぷり収録されています。会話例の後には、なぜこのような内容を伝えるのか?など、良いことも悪いこともはっきりと言葉で伝える重要性が解説されており、どのような心構えで部下と接すれば良いのかを理解するきっかけとなるでしょう。
伝えるのが難しいネガティブな内容についても、思いやりのある表現が紹介されています。

“I realize that you are trying your best, but~
(ベストを尽くしているとは思いますが〜)
Perhaps you think that everything is alright, however~
(よかれと思ってしたのかもしれませんが〜)
You may not have realized this, but~
(このことに気づかなかったのかもしれませんが〜)”(P57)

ただ英語で伝えれば良いだけではなく、より円滑なコミュニケーションを目指したい方におすすめです。相手に聞き入れてもらいやすい、フォーマルで思いやりのある伝え方がこの本で学べます。

欠勤・遅刻、セクハラの報告など問題の具体的な対処方法が分かる

基本的な指示の与え方、フィードバックの方法などの日常的な内容の他に、頻繁に欠勤や遅刻をする場合、部下が給料の交渉をしてきた場合、セクハラや他の従業員の行動の報告をしてきた場合などの記載もあります。
対処の難しいシチュエーションでも、部下に意図がしっかり伝わる英語が、豊富な例文とともに紹介されています。さらに、具体的な対応の方法についても説明があり、部下からのアクションにどう反応していけば良いのかがよく分かります。

“同じ問題がなぜ繰り返し起こるのか、何らかの理由や原因があるはずです。(中略)上司が思い込みで理由を決めず、部下に理由を聞く必要があります。その時は、相手を責めるニュアンスでは無く「一緒に考える」態度が良いでしょう。話し合いの切り口を与え、そして部下の言い分を聞くのも良いでしょう。”(P112)

【目次】
はじめに

第1章 外国人は上司に対して、どんな期待を持っている?
・日本式マネジメントからグローバルマネジメントへ

第2章 指示の与え方
・外国人に対して指示を出すとき、どのくらい丁寧にすべきか?
・期待された仕事をしてもらうためのコツ
【会話例1】『調査(research project)を頼む』
【会話例2】『資料やデータの吟味を頼む』
【会話例3】『部下に商品購入を任せる』
【会話例4】『大切な顧客の対応を任せる』
【会話例5】『会議のアジェンダ作成(あるいは会議後のまとめ)を頼む』
【会話例6】『大切な顧客、あるいはマネジメント対象のプレゼンを頼む』
【会話例7】『懇親会・親睦会などの企画を頼む』
コラム 指示を与えるのに最適な方法とは?
時と場合に応じて使い分けるべし。

第3章 フィードバック
・外国人にとって「言わぬが花」や「以心伝心」は通用しない。
部下との良い関係を保つためのフィードバックの役割とは?
・日本にフィードバックが存在しない理由
・フィードバックがなぜ、外国人部下に使えるのか?
・フィードバックの種類
・ポジティブ・フィードバックの3つの基本ステップ
・ネガティブ・フィードバックを行う上での留意点
・ネガティブ・フィードバックの3つの基本ステップ
・ネガティブ・フィードバックの変形
・通常の仕事の中でのフィードバック 【会話例1】『顧客からの苦情を処理する(部下の対応が良かったことをほめる場合)』
【会話例2】『顧客からの苦情の処理(部下の態度が良くなかった場合)』
【会話例3】『頻繁に起こる遅刻や早退』
【会話例4】『部下の仕事の出来をほめる』
【会話例5】『部下の仕事の出来に批判を与える場合』
【会話例6】『締め切りに関する理解の違い』
【会話例7】『頻繁に起こる私語や私用電話』
【会話例8】『秘密事項を気軽にエレベーターのなかで話す部下』
コラム 感謝・ねぎらいの気持ちを表す最高の方法とは?

第4章 仕事ぶりに問題がある時の対処法——1回だけの失敗・問題の場合
・外国人部下が失敗・問題を起こした時の対処法とは?
・怒鳴るマネージメントは通用しない
・「叱る」ことに関する日本独特の文化
【会話例1】『製品の欠陥が発見された場合』
【会話例2】『社員が引き起こしたエラー』
【会話例3】『与えられた仕事を終わらせることなく部下が帰宅した場合』
【会話例4】『チームプレーヤーらしくない振る舞い』
【会話例5】『仕事内容の詰めの甘さ(sloppiness)』
コラム 部下の「言い訳」にどう対応する?

第5章 仕事内容・仕事ぶりに問題がある時の対処法——パターン化している場合
・日本人の上司は問題を放置する傾向にある
・コーチングとカウンセリング
・部下の仕事ぶりに問題がある時、どのような対処をすべきか?
・外国人部下からの謝りの言葉を期待しない
・Progressive Discipline(段階的懲罰制度)とは?
【会話例1】『頻繁な欠勤・遅刻』
【会話例2】『フォローアップの不足または欠如』
【会話例3】『顧客への対応に関する問題(口頭のコミュニケーション)』
【会話例4】『社内での人間関係に関する問題』
【会話例5】『問題原因を探る会話』
コラム 部下が個人的な相談を持ちかけてきたら?

第6章 勤務評定(Performance Evaluation)をする
・日本人と外国人の考える勤務評定にはギャップがある
・日本企業の勤務評定は、形式的に行われる場合が多い
・欧米の勤務評定は上司と部下の真剣勝負の場である
・勤務評定の目的
・勤務評定のために記録をつける
・勤務評定で日本人管理職が犯しやすいミス
・部下とよい勤務評定を行うのに必要なこと
・勤務評定で使える表現
【会話例1】『勤務評定の始め方』
【会話例2】『部下の良い点をほめる場合』
【会話例3】『部下の仕事に改善の余地のある場合』
【会話例4】『勤務評定のまとめ方』

第7章 部下が昇給の依頼をした時の対応の仕方
・外国人と日本人の給料に関する意識の差
・給与は同業社のそれと常に比較してみる
・日本人と外国人の給与交渉に対する考えは大きく違う
・給料の交渉の仕方
・昇給依頼への対応で気をつけること
・昇給依頼に対する具体的な対応
【会話例1】『部下の給与が一般労働市場と比べて低いと考えられる場合』
【会話例2】『現在の給与が妥当であると考えられる場合』
【会話例3】『昇給がなければ他社に移るとほのめかされた場合の対処法』
【会話例4】『会社の給与体系の制限を説明する』
【会話例5】『給与以外の方法で満足してもらいたい場合』

第8章 部下の職務内容(Job Description)に追加・削除を行う場合
・新しい職場になった場合、どうやって仕事を始めるべきか?
・外国人社員に理解しがたい日本式の曖昧な職務内容
・ジョブ・ディスクリプション(職務内容記述書)とは?
・日本人管理職がジョブ・ディスクリプションの作成を嫌がる理由
【会話例1】『良い仕事ぶりの結果、業務範囲の拡大が行われる場合』
【会話例2】『仕事ぶりに問題があり、業務範囲が縮小される場合』
【会話例3】『リストラで業務範囲の変化(拡大・縮小)が起こる場合』
【会話例4】『通常のローテーションとして社内人事異動がある場合』

第9章 仕事のプライベートのバランスの問題について部下と話す
・外国人の仕事とプライベートのバランス
・残業の必要性に対する考え方の違い
・海外企業と日本企業の雇用事情
・アメリカで流行するワーク・ライフバランス
・仕事とプライベートのバランスについて話す
【会話例1】『家族関連の問題で遅刻・欠勤・早退が起こった場合』
【会話例2】『休暇と仕事のスケジュールが重なってしまう場合』
【会話例3】『部下が過労の不平を言う場合』
コラム 『良き家庭人』(a good family man)は日本と外国でどう違う?

第10章 部下に残業を依頼する
・外国人と日本人の残業に対する意識
・日本企業の残業に対する意識改革の必要性
・外国人部下に残業を頼む
【会話例1】『重要なプロジェクトで予想される残業』
【会話例2】『突発的なプロジェクトのために残業を依頼する場合』
コラム 英語にまでなった日本語、「過労死」(karoshi)

第11章 部下から他の社員の行動や振る舞いを報告された場合
・部下の不満や苦情に対する上司の役割
・苦情の対応の仕方
・セクハラがあった場合の上司以外の人の責任
【会話例1】『セクハラに関する報告に対応する』
【会話例2】『セクハラ以外の報告に対応する』
【会話例3】『部下が他の従業員の倫理観に欠ける行動を報告してきた場合』
コラム Whistleblowersへの対応とは?

著者プロフィールロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長。イェール大学歴史学部卒業、シカゴ大学経営学院卒業。日系大手金融機関東京本社勤務後、人事管理と異文化理解を専門とする経営コンサルタントに。日系と外資系の多国籍企業に異文化研修を提供し、文化的な誤解を回避できるよう支援している。30を超える日本語で著した書籍がある。朝日新聞、日経産業新聞、ニューズウィーク日本版、U.S.FrontLineにコラムを連載。
増田真紀子
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長。イェール大学歴史学部卒業、シカゴ大学経営学院卒業。日系大手金融機関東京本社勤務後、人事管理と異文化理解を専門とする経営コンサルタントに。日系と外資系の多国籍企業に異文化研修を提供し、文化的な誤解を回避できるよう支援している。30を超える日本語で著した書籍がある。朝日新聞、日経産業新聞、ニューズウィーク日本版、U.S.FrontLineにコラムを連載。

(https://www.japanintercultural.com/ja/about/NA_RochelleKopp.aspxより)
【付属商品1:CD】
●基本情報:CD1枚・1時間8分収録
●収録言語・収録順:英語のみ収録
●収録内容:各章で紹介されている会話例のすべてが、英語音声で収録されています。

By |2019-01-10T19:45:10+00:00January 10th, 2019|Categories: seeds|0 Comments

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